○小林市手話言語条例

平成29年12月22日

条例第22号

言語は、互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。

手話は、音声言語である日本語とは異なる言語であり、手指や体の動き、表情を使って視覚的に表現する言語です。ろう者は、ものごとを考え、コミュニケーションを図り、互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできました。

しかしながら、これまで手話が言語として認められてこなかったことや、手話を使用することができる環境が整えられてこなかったことなどから、ろう者は、必要な情報を得ることもコミュニケーションを図ることもできず、多くの不便や不安を感じながら生活してきました。

こうした中で、平成18年に採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話が言語として位置付けられました。手話を必要とする人がいつでもどこでも安心して意思疎通を図ることができる地域社会の構築が求められています。

ここに、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解と広がりをもって、全ての市民が互いに助け合いながら安心して暮らすことができる小林市を目指し、この条例を制定します。

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話の理解及び普及並びに手話を使用しやすい環境の構築に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、総合的かつ計画的に施策を推進し、もって全ての市民が共生することができる地域社会を実現することを目的とする。

(基本理念)

第2条 ろう者が自立した日常生活を営み、地域における社会参加に努め、全ての市民と相互に人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに共生することができる地域社会の実現を目指すものとする。

2 手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進及び手話の普及を図り、手話でコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。

3 ろう者は手話による意思疎通を円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。

(市の責務)

第3条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話の普及を推進するとともに、ろう者があらゆる場面で手話による意思疎通ができ、自立した日常生活や地域における社会参加を保障するため、必要な施策を講ずるものとする。

(市民の役割)

第4条 市民は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 ろう者は、市が推進する施策に協力するとともに、手話の意義及び基本理念に対する理解の促進並びに手話の普及に努めるものとする。

(事業者の役割)

第5条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、ろう者が利用しやすいサービスを提供するよう努めるものとする。

2 事業者は、ろう者が働きやすい環境を整備するよう努めるものとする。

(学校における理解の促進)

第6条 市は、学校教育の場において、基本理念にのっとり、手話に接する機会の提供その他の手話に親しむための取組を通じて、児童生徒等に対し、手話への理解の促進に努めるものとする。

2 市は、学校教育の場において、手話を必要とする児童生徒等に対し、手話による学習支援に努めるものとする。

(施策の推進)

第7条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するための方針を策定するものとする。

(1) 手話への理解の促進及び手話の普及を図るための施策

(2) 市民が手話による意思疎通をし、又は情報を得る機会の拡大のための施策

(3) 市民が意思疎通の手段として手話を選択することが容易にでき、かつ、手話を使用しやすい環境の構築のための施策

(4) 手話による意思疎通支援の拡充のための施策

(5) ろう者の災害時における情報の取得及び意思疎通の配慮を図るための施策

(6) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

2 市は、前項の方針の策定若しくは変更又は同項各号に掲げる施策の評価を必要とするときは、ろう者及び市民の意見を反映するよう努めるものとする。

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

この条例は、平成30年4月1日から施行する。

小林市手話言語条例

平成29年12月22日 条例第22号

(平成30年4月1日施行)

体系情報
第8編 生/第1章 社会福祉/第5節 障害者福祉
沿革情報
平成29年12月22日 条例第22号