○小林市監査基準
令和2年3月25日
監査委員告示第4号
目次
第1章 総則(第1条―第4条)
第2章 一般基準(第5条―第11条)
第3章 実施基準(第12条―第19条)
第4章 報告基準(第20条―第24条)
附則
第1章 総則
(趣旨)
第1条 この基準は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)、地方公営企業法(昭和27年法律第292号。以下「公企法」という。)及び地方公共団体の財政の健全化に関する法律(平成19年法律第94号。以下「健全化法」という。)の規定に基づき監査委員が行う監査、検査及び審査(以下「監査等」という。)並びに法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為に関し、監査委員のよるべき基本事項を定めるものとする。
(規範性)
第2条 この基準は、法第198条の3第1項に規定する監査基準であり、監査委員は、この基準に従って監査等及び法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為を実施するものとする。ただし、この基準に定めのない事項については、一般に公正妥当と認められる他の関連する基準等を参考にするものとする。
(監査等の目的等)
第3条 監査等は、市の行財政運営の健全性及び透明性の確保に寄与し、並びに事務の管理、執行等が法令に適合し、正確であり、経済的、効率的及び効果的に行われることを確保し、もって市民の福祉の増進及び市政への信頼確保に資することを目的とする。
2 監査委員は、自ら入手した証拠を基に第21条に規定する監査等の結果に関する報告等を決定し、これを議会並びに市長、教育委員会、選挙管理委員会、公平委員会、農業委員会、固定資産評価審査委員会及び地方公営企業管理者(以下「市長等」という。)に提出する。
(1) 財務監査(法第199条第1項の規定による監査をいう。) 財務に関する事務の執行及び経営に係る事業の管理が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(2) 行政監査(法第199条第2項の規定による監査をいう。) 事務の執行が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(3) 住民の直接請求に基づく監査(法第75条の規定による監査をいう。) 選挙権を有する者の総数の50分の1以上の連署による請求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(4) 議会の請求に基づく監査(法第98条第2項の規定による監査をいう。) 議会の請求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(5) 市長の要求に基づく監査(法第199条第6項の規定による監査をいう。) 市長の要求に基づき、事務の執行が法令に適合し、正確に行われ、最少の経費で最大の効果を挙げるようにし、その組織及び運営の合理化に努めているか監査すること。
(6) 財政援助団体等に対する監査(法第199条第7項の規定による監査をいう。) 補助金、交付金、負担金等の財政的援助を与えているもの、出資しているもの、借入金の元金又は利子の支払を保証しているもの、信託の受託者及び公の施設の管理を行わせているもの(以下「財政援助団体等」という。)の当該財政的援助等に係る出納その他の事務の執行が当該財政的援助等の目的に沿って行われているか監査すること。
(7) 公金の収納又は支払の事務に関する監査(法第235条の2第2項又は公企法第27条の2第1項の規定による監査をいう。) 監査委員が必要と認めるとき、又は市長若しくは地方公営企業管理者の要求があるときに、指定金融機関等の公金の出納事務が正確に行われているか監査すること。
(8) 住民監査請求に基づく監査(法第242条の規定による監査をいう。) 市民が、職員等による違法若しくは不当な財務会計上の行為又は財務会計上の怠る事実があると認め、監査の請求を行ったときに、当該請求に理由があるか等を監査すること。
(9) 市長又は地方公営企業管理者の要求に基づく職員の賠償責任に関する監査(法第243条の2の8第3項又は公企法第34条において準用する同項の規定による監査をいう。) 市長又は地方公営企業管理者の要求に基づき、職員が市に損害を与えた事実があるか監査すること。
(10) 例月現金出納検査(法第235条の2第1項の規定による検査をいう。) 会計管理者等の現金の出納事務が正確に行われているか検査すること。
(11) 決算審査(法第233条第2項又は公企法第30条第2項の規定による審査をいう。) 決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
(12) 基金の運用状況審査(法第241条第5項の規定による審査をいう。) 基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であり、基金の運用が確実かつ効率的に行われているか審査すること。
(13) 健全化判断比率審査(健全化法第3条第1項の規定による審査をいう。) 健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
(14) 資金不足比率審査(健全化法第22条第1項の規定による審査をいう。) 資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であるか審査すること。
2 前項第1号に掲げる監査は、定期監査(法第199条第4項の規定による監査をいう。)又は随時監査(同条第5項の規定による監査をいう。)として実施する。
3 法令の規定により監査委員が行うこととされているその他の行為については、当該法令の規定に基づき、かつ、この基準の趣旨に鑑み、実施するものとする。
第2章 一般基準
(倫理規範)
第5条 監査委員は、高潔な人格を維持し、いかなる場合も信義にのっとり誠実な態度を保持するものとする。
2 監査委員は、常に、独立的かつ客観的な立場で公正不偏の態度を保持し、正当な注意を払ってその職務を遂行するものとする。
3 監査委員は、職務上知り得た秘密を他に漏らし、又は他の目的に利用してはならない。その職を退いた後も同様とする。
4 監査委員は、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し優れた識見を有することが求められ、第3条第1項の目的を果たすため、自らの能力の向上と知識の蓄積を図り、常に自己研さんに努めるものとする。
(指導的機能の発揮)
第6条 監査委員は、第3条第1項の目的を果たすため、監査等の対象組織に対し、適切に指導的機能を発揮するものとする。
(監査等の実施)
第7条 監査委員は、必要に応じて監査等の対象に係るリスク(組織目的の達成を阻害する要因をいう。以下同じ。)を識別し、そのリスクの内容及び程度を検討した上で、効果的かつ効率的に監査等を実施するものとする。この場合において、当該リスクの内容及び程度の検討に当たっては、内部統制の整備及び運用状況に応じて判断するものとする。
2 監査委員は、監査等の種類に応じ、内部統制に依拠する程度を勘案し、適切に監査等を行うものとする。
(報告の徴取)
第8条 監査委員は、地方自治法施行令(昭和22年政令第16号)第168条の4第3項又は地方公営企業法施行令(昭和27年政令第403号)第22条の5第3項の規定により、指定金融機関等又は出納取扱金融機関等に対する検査の結果について、会計管理者又は地方公営企業管理者に対し、報告を求めることができる。
2 監査委員は、法第243条の2第10項(公企法第33条の2において準用する場合を含む。)の規定により、指定公金事務取扱者に対する検査の結果について、会計管理者又は地方公営企業管理者に対し、報告を求めることができる。
(監査調書等の作成及び保存)
第9条 監査委員は、年間監査計画及び実施計画(以下「監査等の計画」という。)、監査等の内容、判断の過程、結果及び関連する証拠その他の監査委員が必要と認める事項を監査調書等として作成し、小林市文書取扱規程(平成18年小林市訓令第5号)に基づき適切に保存するものとする。
(情報管理)
第10条 監査委員は、監査等において入手し、又は作成した情報が意図せず外部に流出しないよう、情報管理を徹底するものとする。
2 監査委員は、監査等において入手した個人情報について、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき適切に取り扱うものとする。
(質の管理)
第11条 監査委員は、この基準にのっとり、その職務を遂行するに当たり求められる質を確保するとともに、監査委員の事務を補助する職員に対し、当該質を確保するための指揮及び監督を適切に行うものとする。
2 監査委員は、監査委員の職務がこの基準にのっとり遂行されるよう、地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他行政運営に関し、監査委員の事務を補助する職員が自らの専門能力の向上及び知識の蓄積を図るよう研さんに努めさせるものとする。
第3章 実施基準
(合理的な基礎の形成)
第12条 監査委員は、監査等の実施に当たり、十分かつ適切な監査等の証拠を入手して、決定する監査等の結果の合理的な基礎を形成するものとする。
(監査等の実施方針及び計画の策定)
第13条 監査委員は、市を取り巻く内外の環境、リスクの内容及び程度、過去の監査等の結果、過去の監査の結果に対する措置の状況、監査資源等を総合的に勘案し、監査等の方向性、重点項目等を定めた実施方針を策定するものとする。
2 前項の実施方針は、市を取り巻く内外の環境等の変化に応じて、適宜見直すものとする。
3 監査委員は、第1項の実施方針に基づき、監査等を効果的かつ効率的に実施することができるよう、監査等の計画を策定するものとする。
4 年間監査計画には、リスクの内容及び程度、過去の監査等の結果、過去の監査の結果に対する措置の状況、監査資源等を総合的に勘案し、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 実施予定の監査等の種類及び対象
(2) 監査等の対象別実施予定時期
(3) 監査等の実施体制
(4) その他必要と認める事項
5 実施計画には、必要に応じて監査等の対象に係るリスクの内容及び程度を検討し、その程度に応じて体系的に次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 監査等の種類
(2) 監査等の対象
(3) 監査等の着眼点
(4) 監査等の主な実施手続
(5) 監査等の実施場所及び日程
(6) 監査等の担当者及び事務分担
(7) その他監査等の実施上必要と認める事項
(監査等の計画の変更)
第14条 監査委員は、監査等の計画の前提として把握した事象、市を取り巻く内外の環境等が変化した場合又は監査等の実施過程で新たな事実を発見した場合には、必要に応じて、監査等の計画を変更するものとする。
(監査等の手続)
第15条 監査委員は、十分かつ適切な監査等の証拠を入手できるよう、必要に応じて監査等の対象に係るリスクを識別し、内部統制の整備及び運用状況に応じて実施すべき監査等の手続を定めるものとする。
2 監査委員は、監査等の結果及び意見を決定するに足りる合理的な基礎を形成するため、監査等の手続を定めるに当たり、有効性、効率性、経済性及び合規性に着目するとともに、実在性、網羅性、権利と義務の帰属、評価の妥当性、期間配分の適切性、表示の妥当性等も考慮するものとする。
3 監査等の手続は、試査又は精査による。
4 監査委員は、監査等の実施の結果、異常の兆候を発見した場合等必要と認める場合には、監査等の手続を追加して実施するものとする。
5 監査委員は、監査等の実施の結果、想定していなかった事象若しくは状況が生じた場合、新たな事実を発見した場合又は不正の兆候若しくは事実を発見した場合には、適宜、監査等の手続を追加して十分かつ適切な監査等の証拠を入手し、監査等の結果及び意見の合理的な基礎を形成するものとする。
(実施すべき監査等の手続の適用)
第16条 監査委員は、十分かつ適切な監査等の証拠を効果的かつ効率的に入手するため、実査、立会い、確認、証ひょう突合、帳簿突合、計算突合、分析的手続、質問、観察、閲覧等の手法について、得られる証拠力の強弱及びその容易性を勘案して、適宜これらを組み合わせること等により、最も合理的かつ効果的となるよう選択の上、実施すべき監査等の手続として適用するものとする。
(各種の監査等の有機的な連携及び調整)
第17条 監査委員は、各種の監査等が相互に有機的に連携して行われるよう調整し、監査等を実施するものとする。
(他者情報の利活用及び調整)
第18条 監査委員は、監査等の実施に当たり、財政援助団体等の内部監査人、監査役、監事等と必要に応じて連携の上情報収集を図り、効果的かつ効率的な監査等の実施に努めるものとする。
2 監査委員は、前項に規定する者から得た情報を利活用する場合には、それらの品質管理の状況等に基づく信頼性の程度を勘案して、利活用する程度及び方法を決定するものとする。
3 監査委員は、学識経験者等から意見を聴く場合には、その必要性を吟味し、自らの責任においてその意見を利用するものとする。
(弁明又は見解の聴取)
第19条 監査委員は、原則として、監査等を実施した結果導き出される指摘、意見、勧告等に関する報告を決定する前に、対象部局等の長から弁明又は見解を聴取するものとする。
第4章 報告基準
3 監査委員は、審査を終了したときは、意見を市長に提出するものとする。
4 監査委員は、監査等の結果に関する報告等の提出に当たり、市民が理解しやすいように平易かつ簡潔明瞭な表現とするよう努めるものとする。
(監査等の結果に関する報告等への記載事項)
第21条 監査等の結果に関する報告等には、原則として次に掲げる事項を記載するものとする。
(1) この基準に準拠している旨
(2) 監査等の種類
(3) 監査等の対象
(4) 監査等の着眼点
(5) 監査等の主な実施内容
(6) 監査等の実施場所及び日程
(7) 監査等の結果
(8) その他必要と認める事項
(10) 第4条第1項第10号に掲げる検査 前項第1号から第6号までに掲げる事項のとおり検査した限りにおいて、会計管理者等の現金の出納事務が正確に行われていること。
(11) 第4条第1項第11号に掲げる審査 前項第1号から第6号までに掲げる事項のとおり審査した限りにおいて、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ、正確であること。
(12) 第4条第1項第12号に掲げる審査 前項第1号から第6号までに掲げる事項のとおり審査した限りにおいて、基金の運用の状況を示す書類の計数が正確であると認められ、基金の運用が確実かつ効率的に行われていること。
(13) 第4条第1項第13号に掲げる審査 健全化判断比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であること。
(14) 第4条第1項第14号に掲げる審査 資金不足比率及びその算定の基礎となる事項を記載した書類が法令に適合し、かつ、正確であること。
4 監査委員は、是正又は改善が必要である事項が認められる場合には、その内容を監査等の結果に記載するとともに、必要に応じて、監査等の実施過程で明らかとなった当該事項の原因等を記載するよう努めるものとする。
5 監査委員は、重大な制約等により重要な監査等の手続を実施できず、監査又は検査の結果及び意見を決定するための合理的な基礎を形成することができなかった場合には、必要に応じて監査等の結果に関する報告等にその旨、内容及び理由等を記載するものとする。
(監査委員の合議)
第22条 次に掲げる事項の決定は、監査委員の合議によるものとする。
(2) 第4条第1項第8号に掲げる監査及び勧告
(3) 第4条第1項第11号から第14号までに掲げる審査意見
(1) 監査の結果に関する報告の内容
(2) 監査の結果に関する報告に添える意見の内容
(3) 監査の結果に関する報告に係る勧告の内容
(措置状況の報告等)
第24条 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者に、適時、措置状況の報告を求めるよう努めるものとする。
2 監査委員は、監査の結果に関する報告を提出した者及び監査の結果に関する報告に係る勧告をした者から措置の内容の通知を受けた場合は、当該措置の内容を公表するものとする。
3 監査委員は、第4条第1項第8号に掲げる監査に係る勧告に基づき、議会及び市長等から必要な措置を講じた旨の通知があったときは、これを請求人に通知するとともに、公表するものとする。
附則
この告示は、令和2年4月1日から施行する。
附則(令和5年2月10日監委告示第2号)
この告示は、デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(令和3年法律第37号)附則第1条第7号に掲げる規定(同法第51条の規定に限る。)の施行の日(令和5年4月1日)から施行する。ただし、第22条第2項の改正規定は、公表の日から施行する。
附則(令和6年2月8日監委告示第2号)
この告示は、令和6年4月1日から施行する。
附則(令和6年3月29日監委告示第5号)
この告示は、令和6年4月1日から施行する。